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メリケン道中記 X-GAMES14の思い出 後編

例の如くほとんど旅日記の、パート2でございます。

前回

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所で、凄まじくどうでもいい疑問なんだけど、このX-GAMESを発音する時。
何故、日本のメディアでは「エックスゲーム」と単数形で寸詰まりなのだろう。
何となく、余計に言いづらい様な。


そんな事はさて置き、以下本編です。


空けて8/2。


日程としては、大会の3日目。
4日間の中で、一番ボリュームが大きいのが、この土曜日となる。

初日は夕方からだが、この日は午前11:00から夜20:00までの「通し」。
ちなみに、他の日程は夕方~夜まで。
最終日は、お昼で全て終了するスケジュールになっている。

他の日は仕事上がりでも観れる様に、そして恐らくは、日曜日を厚くしてしまうと月曜日からの仕事に響く可能性があるので、あえて最終日の1日前に厚みを持たせているのだろう。


実際、このインク・アンド・アイアン・フェスティバルも似たスケジュールでした。
「INK-N-IRON FES」

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「INK-N-IRON FES番外編」

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場所は、HOME DEPOT CENTER。
※2008年当時の名称。理由は後述。


この会場は、DOWNTOWNから南側へ離れた少し郊外の、CARSON(カーソン)という地区にある。

イメージ 3

システムマップより。
カーソンは地図上、真下に位置するエリア。


サウスセントラル地区と同じ圏内なので、METRO BLUE LINEのアルテイジア(Artesia)駅やダラモ(Del Amo)駅で降りる。

一応、駅からバスが通っているんだけど、本数が少ないので、当時は何故か歩きで行った。
ただし、歩きだと1時間位かかる上、治安も考えれば日中でも車か公共交通を使うべきです。

関連記事
「サウスセントラルを歩く」

前編

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後編

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「サウスセントラルの治安」

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それで、このホーム・ディーポ・センターとは、日本で言う千葉マリンスタジアムに相当する、スポーツ大会や野外イベントが主体の大型施設。
基本的にはNFLの様な、アメフトの試合を開催していた様である。


実はX-GAMESの前に、同じ場所でWARPED TOURも観戦しているのだけど(これも書き直すかも)、ワープド・ツアーではだだっ広い広場のみ使用されていた。
だが、X-GAMESでは、その広大な広場+アメフトの試合やるような巨大なスタジアムという大規模なもの。

簡単に例えるなら、サマーソニックの会場の全面を使って、X-GAMESを開催しているとイメージして貰えれば、ほぼ正解と言って良いだろう。


この会場はThe Home Depoと言う、日本で言えば「コーナン」や「シマチューホームズ」と同様な、いわゆる巨大ホームセンターのチェーン店がオーナーなので、この名らしい。
つまり、「千葉マリン」が「ZOZOマリン」と言う呼称であるのと同じ意味と考えられる。


ただし、この会場名は数年前に変更されており、2017年現在は、「STUB HUB CENTER(スタブ・ハブ・センター)」となっています。
ロサンゼルス初と言う、地元サッカーチーム「LA Galaxy」のホームスタジアムとして使用されており、主に彼らの試合や、その他テニス等の大会も開催されている。

[追記]:最近また名称が変更されたらしく、2019年現在はDignity Health Sports Parkとなっている模様。

なので、現地に行く際は名前をお間違い無い様、ご注意下さい。



それで会場に向かうのですが、バスを使わず殺風景な工場地帯を歩く中。
その途道すがらで、あらぬ問題が発覚。

メインの幹線道路であるアルテイジアBlvd(ブルバード=大通り)からHOME DEPOTに通じる、セントラルAv(アベニュー=大通り)に入った時。


道路のど真ん中に立っている、交通状況なんかを記している電光掲示板が気になり見やると、「TODAY'S X-GAMES SOLD OUT」などと書いてある。


何いい!?


ソールドアウト!?

当日券目当てだったのに!

規模がデカイから余裕だろとか思ってたけど、迂闊!



一応、チケットマスター(アメリカの[チケットぴあ]的存在)を使えば前売り券を買えるのは知ってるんだけど、日本で作ったクレカで買うと何故か手数料がバカ高いので毎回、当日か事前にハコまで行って買っていたが今日に限って・・・。


どうしたものかと思いつつ、それでもトボトボ歩き続けて会場前へ。
早速、BOX OFFICEの係員のオネーさまに聞くが。


係員「今日は売り切れよ。明日のならあるわ」


と。

いやー明日のは興味ないっつーか、今日のが一番見たいんだよお~。


仕方なく、会場の周辺をウロウロしつつ作戦を考えていたら、同じく当日券を買えなったらしいニーチャン連中が、ダフ屋と交渉している。

即座に「これだ!」と思い、アタクシもこのラテンオヤジと交渉すべく接近。

ダフ屋(以下、ダ)は日本と同じで、向こうから「チケットか?」と話しかけてくるのですぐ分かる。
また、黒人かラテン系しかやってないのも特徴。

早速、話を始めるが。


僕「チケットいくら?」

ダ「いくつ?」

僕「一枚」

ダ「$60(定価$20)だ」

僕「$60!?$16じゃなくて!?」

ダ「そう。どうする?」

僕「もっと負からない?」

ダ「無理。下げらんない」

僕「あ、そ」


終了。


うあー定価の三倍だとおおおお~~!?

どうりで前のニーチャンらも話だけして移動したわけだ。
やっべーどぼじよ。

せっかくだけど、帰ろっかな・・・と半ば諦めかけていた時。

会場を覗くと、丁度目の前のフェンス越しにMETAL MULISHAクルーのトラックを発見。

その内の一台にデカデカと「DEEGAN」とペイントされてるのを見た瞬間、「諦めたら試合終了ですよ」と安西先生


安西先生・・・もう一度ダフ屋と交渉したいです。


という訳で、改めて別のダフ屋探しをする事に。


再開して程なくしてから、若いギャル二人組が交渉してる現場に遭遇。
すると交渉成立したらしく、渡した額を観察してみると、どうやら大して払っていないのを確認。
これしかねー!

ちなみに、この時の黒人のダフ屋は、デカ目のイベントになると必ず現れる。
この後のハリウッドでも、CARCASSのチケットが$90などと言って売っていたが。
これを生業にしてるんだろうか?


僕「一枚いくら?」

ダ「$50だ」

僕「高い。負けてくれ」

ダ「ノー、それは出来ない」

やはりそう簡単に問屋は卸さぬか。
だが、こちらにも「妥協案」がある。
条件を引き出そうと、もう少し粘る。

僕「もっと下げてくれ。頼む」

ダ「なら、いくらまでなら出せる?」

僕「$35」

ダ「無理だ。これはVIPシート券(と言って見せてきた)だぜ?$40からは下げられない」

定価の2倍。
かなり絶妙な額であるが、ここでズルズル時間を使うのは避けたいのも事実。
しかし、軽く麻痺っていたのか、不思議と先程の3倍よりはマシに聞こえる。

僕「(2倍か・・・まぁしゃーないか・・)OK、じゃそれで買うよ」

ダ「OK。いいかVIPシートだぜ。いい買い物だろ」

僕「…ふーん、どうも」


こうしてやっとこ入場に成功。

イメージ 2


まぁ、今にして思えばダフ屋から買うなんて褒められたものでは無いけど、当時は藁にもすがる思いであったので致し方ない。
やはり万全を期すならば、出来る限り前売り券を入手して然るべしである。

しかし、結果的に自席に着いたはいいが、見た感じ他の席との違いも無く、一体何がVIPシートだったのかついぞ分からないままであった。

しかも、ブライアン・ディーガンが目的だったのに、この日は出場しなかったし・・・。
※[追記]:後日、別の資料を見返していたら、どうやらディーガンは8/1のMoto X Step Up(高跳び)に出場していた模様。
てっきり、この時はフリースタイルの方に出るとばかり思い込んでいました。
まるっきり出ていない様な記述をしてしまい、申し訳ありません。


まぁ、どちらにせよ入りたかったので、それは仕方ないんだけども。

イメージ 1

入場口にて。


感想としては、なんと規模のでかい事。会場を把握するのもひと苦労である。

企業ブースの出店もかなり多く、見て回るだけでかなり時間が必要になります。
むしろ、試合を優先しない間はこれで結構に楽しめると思う。

そういえば、海兵隊の主催する、素人参加型の筋肉番付とか面白かったな。
ガチムチなお兄さんだらけで思わずウホッ・・・。
いや、決してその気はないのでやらないですよ。


ほんで、いざ出場チームの並ぶエリアへ。
だが、METAL MULISHAとかHART AND HUNTINGTONのブースに行ったものの、クルーはTHUGついてて話かけるに躊躇われる雰囲気。
見た目からしてマジドチンピラです。

また、当のリーダーであるディーガンは見当たらなかったものの、奥の方でタカ東野氏が座っているのが見えた。

後々知った話しでは、この時は不調で決勝に進めなかったらしく、やはり演技は見れず。


うーん、目的の二人が見れないとは、タイミングと言うモノを思い知らされる。

しかしながら、その活躍は皆さまの知る所でありましょうし、やはりいつか直接観てみたい所。


そのMMのブースでグッズあさりしてた時。
ほとんどのステッカーが奪われた後だったんだけど、安西先生の教えを守り、あきらめず必死に残ったトレカやらポスターをあさっていたら、奇跡的に大量に積まれたポスターの一番下から、2枚ロゴステッカーのサルベージに成功。

それを見てた同じグッズあさりしてたオッチャンから、「おお!よく見つけたな!ラッキーじゃん!」とツッコっまれる。
ありがと。


スタジアム内では、MOTO Xの各種目(レースなど)、そして広場ではスケボーとBMXのバートが一時間ごとに開催されていて、どれも大盛りがり。
どちらを観に行くかが、相当に悩ましい。

ちなみに、当時はスケボーをやっていなかったので、パークの試合はあまり見ていないし覚えていないと言う。
強いて覚えているとすれば、とにかくライアン・シェクラーの人気が凄まじいのと、トニー・トルフィーヨがバカ早い滑りを見せつけて目立っていた事だろうか。

今にすれば勿体無い事をしたとは思うが、いずれにせよ当時はFMXの方に興味があった事もあり、比重がそっちに寄るのは仕方ない。

と言うより、全てを見て解説すのは不可能に近く、また、知ったかぶりをこきすぎるのも良くない。
そこは本当の専門家にお任せすべき所であろう。

むしろ、僕は広く浅いニワカ的な存在なので、それ以外の与太話を中心に進めて参ります。
試合の詳細についてはご期待に添えず、申し訳ありません。


そんな中、試合自体も確かに面白かったんだけど、個人的に一番感動した出来事があった。


会場にはガンズやらメタリカやらバッドレリジョンの曲が、BGMとして常に流れている。

また試合中は、場内MCの軽快な実況が会場内で放送されているのだが、時折、その流れているメタリカの曲(曲名忘れた)に合わせて合間に歌ってたり。

しまいには、PENNYWISEのBro Hymnが流れた瞬間、スタジアム全体で「オーオオオー♪オーオーオオオー♪」の大合唱。
https://youtu.be/sjHYAVeFwGw
こんな感じにね。


この光景を目の当たりにした瞬間、「ああ、俺はメリケンの、しかも西海岸に来たのだな・・・」と感慨にふけってしまった。
ほら、だって、日本じゃあまり考えられないシチュエーションだし。

と言うか、余程の事が無いと、場内MCが歌うのはワザとらしくて「寒い」扱いになりかねないし、単に喧しいだけのお喋りになる恐れがあるし、また曲を知っている必要性もある分、おいそれと真似をする訳には行かないんだけども。

ただ、ここが本場である分、その辺のバランス感覚が優れているからこそ、成立する世界観がそこにあったのです。
真面目な話、実際に見ると本当に感動します。


あと覚えてる事と言えば、1日の最後の〆にて。


MOTO X FREESTYLEの決勝で、「トゥイッチ」ことJEREMY STENBERGが競技中にマシントラブルを起こし、ブチ切れながら途中退場した事か。
場内MCも、「何が起こった!?」と誰もが状況を把握できず、唖然と見つめるばかり。
一応、当時の映像があった。
https://youtu.be/y-taA3mEg8o

メットをぶん投げ、目の前の物をボッコンしながら蹴りつつ去って行くものの、次第に会場からは誰からともなく拍手が沸き起こる。
途中まではかなり快調だっただけに、見ている側としても、かなり惜しいアクシデント。
https://youtu.be/Gm65yaYEYGs
よくやってくれましたって所でしょう。


そしてこの時、優勝のゴールドメダルに輝いたのは、今は亡きジェレミー・ラスク。
https://youtu.be/OMP6bEIjPkE


日本でも佐藤エイゴ氏が亡くなってしまった様に、FMXに事故はつきものだけど、実際として本当に命懸けであるが故に、その脳裏に強烈な印象を残す競技でもある。

同様に、このX-GAMESも含め、ほとんどのイベントでも一日の〆としてFMXがトリを飾る所からしても、アクションスポーツの花形と扱われるに疑い無い存在感を放っている。

まさに常人離れした世界で、まさしく並では無い力と輝きを放ち続けていたが故に、彼らはヒーローと成り得るのでしょう。
誰も真似出来ない極限の世界を追求するからこそ、本当に超人化しているのだなと。

そんな太くて鋭すぎる人生観に、そして彼らが魅せてくれた「究極の魂」に哀悼の意を込めて、R.I.P.と言わせて欲しいと思うのです。


かくして、細かいクラッシュは幾つかあったものの、今回のイベント全体では重大な事故もなく(ダニー・ウェイはアレとして)、無事に終わったのであった。


しかし炎天下の中、1日通しで観るのはサマソニ並みに中々ハードであった。
本当にくそ暑かったせいか、熱中症で倒れた人がいた位だし。
世界の何処に限らず、暑い日は気をつけましょう。


その帰り道。

夜の郊外は一際寂しく、駅まで歩くのはムチャクチャ緊張感があった。

途中、バスが通りかかり、運転手のオバチャンが「あんたー!乗りなさいよー!」と声をかけて来たのだが、何故か断ってしまう。

その時は、「駅まであと少しじゃん」などと、良く分からない行動心理を発揮した訳だけど、身の安全を考えるなら、真面目に車かバスを利用するのがベスト。
メトロブルーラインの周辺は、本気で気を抜けない場所ばかりで、電車内も怪しい連中が多いです。

くれぐれも真似をしない様、身の安全に万全を期してお出かけしましょう。


後日、この大会の様子は、ESPNでも総集編として放送された。
ESPNとは、アメリカ最大手のスポーツ専門チャンネル

野球から格闘技まで、あらゆる競技が日夜連日放送されており、その時に開催された大きいイベントは必ず特集されているので、行けなかった日程も結構にフォロー出来る。

その放送では、最終日のラリーカーも特集されており、前のめりに転がり、仰向けになったりしていた。

などと、他に見てないイベントの映像も沢山あって、見ると得した気分である。



そして次回は、Xゲームズにちなむ番外編。
つまりオマケシリーズ。

オフィシャル・プログラムから見える、色んな事情やら意外な発見の話の予定。

そんな、いつも通りの雑談テイストです。



では、また、CUL。