CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

食べ蒔き2021年9月中旬~下旬・家庭菜園4年目にして初の大玉(中玉)トマト収穫&ミニトマトとゴーヤー連発

前回では、9月に入るなり降った雨とともに急激な気温低下にも見舞われた事により、つい先日の8月末まで青々としていたはずのゴーヤーの葉に、低温障害の症状らしき黄色い変色が顕れ出していた。
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それ以降も、あまり残暑らしくない気候が続いており、特に夜間は例年になく肌寒く感じられる日も多かった。
いくら日中は気温が高くとも、これでは夜のうちに劣化が進んでしまいかねない状況である。



その懸念どおり、この9月中旬までに変色が更に拡大。
すでにゴーヤー全体が黄色くなる勢いで進行し、生育にも急激にストップがかかった様子である。
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まだ先端側は成長しているし新芽や雌花も出てはいるが、どこか盛期のような力強さに欠ける。
と言うか、寒さのせいで本来の成長力がブロックされてしまい、勢いよく伸びたり果実を成熟させようとしても途中で止まってしまう感じだ。
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確か、昨年度は10月上旬あたりまでは全体的に青味の方が強く、黄色い箇所も点在する程度と大きな変質には至っていなかった記憶がある。
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例年の今時期でも、ここまで寒い日ばかりではなかった事を考えると、いかに今期の低温化が急激であったか、そして作物への影響が大きかったかが伺える。
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もっとも、ゴーヤー自体がオフシーズンに入る時期ではあるので、当たり前の現象ではあるのだろう。
気温だって毎年必ず同じ様に推移する訳じゃなく、大きく変動する年だってあるし、それによって植物の分布や当たり外れが出てくるものなので、今期についても「そういう年だった」と納得するほかないのであった。



ゴーヤーに急ブレーキがかけられた一方、トマトは順調に生育しており果実の成熟も続いている。
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前回では収穫のタイミングを逃したせいで幾つか裂果させてしまったので、今回は早めの取り込みを実施。


その中でも特筆したいのが、当プロジェクトを始めてから初めてとなる大玉(中玉)のトマトが収穫された事。
これまで収穫に至ったのは全て「ミニトマト」のみであったが、いわゆる「普通のトマト」が遂に完成したのである。
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過去に育てた大玉~中玉トマトは、赤く成熟するまでは何とか行けるのだが、毎度いい所で野生鳥獣に噛られたり病気に見舞われたり、はたまたシーズンが過ぎたりで収穫できずじまいが続いていた。
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それが4年目にして収穫となるとは、諦めず続けてみるものだなぁと感慨深い。
数としては単発ではあるので自慢出来るほどの成績では無いかも知れないけど、ここまでの失敗が多いぶん妙な充実感がある。


実生ゆえに性質が安定していないせいか、皮の質感は粗めでヘタ周りがザラついているが、尻はツルツピカで触るとスベスベムチムチな瑞々しさがたまらない。
いかにも中身が詰まってるって感じ。
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ついでに、この機に併せてゴーヤーも収穫。
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今回のゴーヤーは8月までに結実が確認されていたものの残りなのだが、この低温化のせいで全盛期と比べ一回り以上小さくダウンサイジングしている。
これがもし例年通りの残暑が続いていたなら、もっと大きくなった可能性があるだけに、やはり急激な気温低下に晒された事が惜しまれる。

とは言え、収穫物の全体量で言えば意外なボリュームとなったのは素直に嬉しいサプライズ。
よくよく考えると、ここまで一時に収穫物が揃うのは過去イチではないかとも思う。



そこへ更に、上記から約2週間後の9月下旬には、またしてもゴーヤーと中玉トマトをゲット。
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サイズは中旬から一段とミニサイズ化しているが、これもやはり低温化が進むにつれて成長力が下がってしまったためである。
もっとも、食べる分には充分なクオリティと量が確保されている事を思えば、むしろ上出来な方かも知れない。

画像左端の中玉トマトは裂果しているものの、ギリギリ許容範囲で収穫。
これにより、「普通のトマト」を計2個と複数ゲットした事で、過去の失敗を乗り越え、マグレじゃなく実生でも確実に育てられる事が確認されたのである。



ちなみに食味について触れておくと、今回のゴーヤーもトマトも全て美味であった。
若干ゴーヤーの風味が薄く感じられたが、これはおそらく株本来の性質に加えて、気温低下により体力が下がり、養分が行き渡り難かったなどの影響が考えられる。
ただ、過去のゴーヤーもシーズン後半では果皮の色や風味が薄くなりがちであったので、これは季節的なものとして仕方ない事なのだろう。

しかしながら、一見では市場の品とくらべて質感が劣るとしても、味がイケればそれでヨシ。
急変した環境下において収穫出来ただけ有り難い限りだし、食べられる事に感謝しかないのであった。



てなワケで、そもそもが極端に味のムラが出るような作物ではないにしろ、どんな状態であれ「安定して食べられる」と言うのは心強い限り。
何だかんだ毎年ゴーヤーとトマトを育ててしまうのも、結局は食味と収量が担保されやすいからでもあります。

実際問題、当プロジェクト初年度では採れていたはずのカボチャ、メロン、スイカは以降から全滅しっぱなしだし、もしこれらしか育てていなかったら本当に一切何も収穫されすじまいになりかねなかったですからね。


そう考えると、食料を得る事がいかに難しいものなのかと再認識させられる。
今後も食べられるものがムダにならない様、出来る限り大事にしていきたい所であります。




では、また、CUL。

食べ蒔き2021年9月上旬・早くもゴーヤーに低温障害が顕れる中で纏まった数のミニトマトを収穫

前回にて、画像は撮り忘れてしまったけど全盛期を迎えていたゴーヤーを収穫。
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比較的いいサイズまで育ったものや、おまけに小さなミニトマトも付くなど、旬を感じさせる結果となっていた。



しかし、それから空けて約1週間後のこと、9月に入るなり降った雨とともに、急激な気温低下にも見舞われる事となる。
しかも、それが例年にない様な低下によって、各地で低温注意報が出るほどであり、農作物への影響も懸念される状況にあった。

個人的にも9月上旬でここまで気温が低下したのは、ここ数年、いや十数年は覚えがないと思う。
それくらいのインパクトがある出来事だった。



そんな低温に晒された為か、菜園にも少し異変が顕れていた。
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まずゴーヤーの葉が一部、黄色く変色している。
これは例年、シーズンが終盤化するにつれて気温の低下とともに徐々に出てくる症状なのだが、早くも出始めている。


一見すればワッサワサに生い茂っていて全盛期そのものなのだが、それと対照的に黄色い葉が目立つ。
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前回では全景の画像が撮れなかったので比較が出来ないのだけど、少なくとも8月中は黄色い箇所など殆ど無く、全体的に青々と発色していた。
それがこの1週間足らずで変色したあたりで、気温低下の影響の大きさが解る。
この状況で果たしてどれだけ生育が維持出来るのかは、今後の気候次第といえそうだ。

※ところで、当ブログでは今まで「ゴーヤ」と記述していたけど、正しくは「ゴーヤー」と語尾を延ばして発音するのだとか。
もはや寸詰まりな発音に慣れてしまったけど、今後は本場に倣いゴーヤーで統一すべきか思案中だったりする。



その一方、同じ夏野菜なのに意外なほど低温に強いのがトマトである。
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こちらも色付きがピークに達しつつあり、続々と収穫の時を迎えようとしている。


そこで、もう赤く完熟しきった果実から収穫を実施。
ご覧のミニトマトを複数個ゲッツ。
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よくよく振り返れば、当プロジェクト初年度の2018年以降は不作で少量か単発ばかりの収穫が続いていたが、今期は久しぶりに纏まった数量での収穫となった。

して、その食味も、酸味が効いた奥に甘味があるミニトマトらしいフレッシュな味わい。
食感も皮に張りがあり、ムチムチ、プチンと弾ける様な歯ごたえであった。
この逞しい生命感こそ自然の恵み、今回もごちそうさまです。



しかしながら惜しむらくは、この一方で落果も多数出てしまった事。
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そろそろ収穫しようかと言うタイミングで雨が降り、その間に皮が破れてしまった。
直接外気に晒される露地栽培では致し方ない事なれど、落果したぶんも含めれば更に収量が上がったのになぁと思わずにいられない。


そう言えば、同じくゴーヤーの果実にも一部、裂果したり落果したものがチラホラあったりする。
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こういったパターンの殆どが、「まだ大きくなるんじゃないか」と様子を伺っている内に成熟が行き過ぎてしまったせいだったりする。
先のトマトもだけど、この「成熟と収穫の符合するタイミング」を測っている間に、見誤ったり逃したりでロスしてしまう事も度々ある。

それを防ぐ為には、気になる果実は早めに収穫して、あとは追熟に任せるのも一手かも知れない。
ただ、ギリギリまで実らせていた方が味が乗りやすくなる面もあるので、やっぱり見極めが難しいんだよなぁ。



とまぁ、これらの他にも成熟を迎えようとしている果実は他にもある。
出来るだけ取りこぼさぬよう、今後もタイミングに気を配りつつ収穫してみよう。





おまけシリーズ。



またゴーヤーに飛来してきたハチの仲間。
調べた限りでは多分、ヒメハラナガツチバチと思われる。
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前々回ではトラマルハナバチだったが、今回もチョイ珍しめなお客さんである。

ミツバチだけでなく、こうして色々と複数種類が集まってくるほど、より花粉も運ばて実り多いシーズンになりそうな気分にさせてくれる。
しかもコガネムシ類の天敵なので食害の抑止力にもなるだろうし、いずれにせよ作物にとっては来てくれるに越したことないでしょう。


その意味では、家庭菜園も一つの養蜂になっているんじゃないかとも思ったりするのであった。





では、また、CUL。

食べ蒔き2021年8月下旬・良いサイズのゴーヤ収穫

前回までに、菜園は盛期を迎えつつ今季初の収穫物に恵まれる。
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無事にゴーヤと再生ジャガイモをゲットし、その味も満足の行く結果となっていた。



そこから空けて8月中旬~下旬に入ると、作物全体のボリュームが増し、まさしく最盛期の様相となる。
ヤグラは枝葉に隙間なく覆われ、特にトマトとゴーヤは続々と開花から結実、そして成熟へと向かっていた。

しかし、今回に関しては画像をあまり撮っておらず、全景の画も無いのが申し訳ないところ。
したがって、ほんの軽く経過だけ報告する事に致します。



まず気になった所と言えば、地味にスイカが結実していた事。
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このスイカに関して、ここ数年は連作障害と考えられる不作が続いており、今期も「ただ生えてるだけ」だと記していたが、知らぬ間に結実し、しかも成熟までしていた様だ。

ただ画像の様に、今は朽ちており収穫は不能である。
正確に言えば、発見した時点では丸い形を保っていたのだけど、既に裂果していて虫が集っている状態であったため、放置したまま現在に至る。


ちなみに、その大きさはテニスボールを更に一回り小さくした程度のミニチュア・スイカだったのだが、発見当時は中身が普通に赤く熟していて、思った以上にスイカらしい色味と質感をしていたのが印象的だった。
あれなら食べてもイケる可能性があったし、せめて味見くらいはしておきたかった所である。

一応、今回と似たような例として、過去に収穫から味見まで行けたスイカの記事も貼っておきますね。
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この他に触れたいトピックと言えば、またゴーヤが収穫された事。
1個だけポツンとミニトマトが混じっているが、これも今期初収穫だったりする。
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今回は比較的サイズが揃っており、まさしく盛期らしい勢いを感じさせる。
収穫量や食べ応えを考えるに、大きい果実は理屈抜きに嬉しいものがあります。

旬の味覚、ありがたや、ありがたや。



そんな訳で、チョボチョボながら続く実りのラッシュ。
次回、トマトも纏まって収穫される事となります。




おまけシリーズ。



ゴーヤの花にセセリが留まってると思い近づいてみたら、何故か横倒しみたいな姿勢で動かない。
よくよく観察すると、お腹の下に隠れている、花に擬態したクモに食べられている所だった。
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きまぐれに観察しているとはからずも、こういった捕食シーンに遭遇する事が度々ある。
こんな小さな菜園でも人知れず、厳しい生存競争が繰り広げられているのであった。




では、また、CUL。

食べ蒔き2021年8月上旬・ゴーヤと再生ジャガイモのプチ収穫祭

前回までに、気温の上昇とともに作物たちも急成長。
続々と開花から着果が始まっていた。
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それから10日ほど経過したころ、8月上旬の最終週あたりになって遂に収穫の時が訪れたのであります。



まず畑の様子としては、これから盛期を迎えようといったところ。
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サーフィン用語的に言えば、いずれの作物も7月上旬頃まではヒザ~モモ位の背丈しかなかったのが、現在は人の背丈ほどにまで成長。
文字通りアタマオーバーのサイズ感である。



前回で着果していたトマトも、次第に膨らみを増してきた。
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数こそ多いとは言えないが、いつになっても鈴なりに実った光景は嬉しいものです。
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ただ一部、いまだ背丈が低い株もある。
こういった個体は元から低いままの傾向にあり、最後まで伸びなかったり細長く貧弱となるパターンもある。
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以前から同様のパターンが観測されていたので、これも恐らくはタネの時点からして成長率が決まっていたためだと考えられる。

だとしても、背丈の低さや細さとは関係なしに大抵は開花から着果まで行けるし、収穫も可能となる場合だってある。
その特性からして、トマトは根元的に生命力が強いらしく、栽培のしやすさにも納得するところ。
したがって今期も間引きはせずに生育を継続して行きます。



そしてトマトと同じく、前回にて着果が確認されたゴーヤがイイ感じに膨らんでいる。
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そこで、他にも適期と思われる果実と纏めて収穫を実施。
思いのほか一定量の取り込みとなっただけでなく、今期初モノだけに喜びも大きい。
勿論、味もナイスな仕上がりでしたよ。
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サイズやルックス、そして表皮の色味と質感にバラつきがあるが、これもタネの性質による違いだと思われる。

何故なら以前にも、ある個体は「成長率は高くないが続々と雌花が咲く株」、かたや「成長率は高いのにあまり雌花が咲いていない株」などの個性が顕れていた事があったからだ。
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これも恐らくは、次世代の個性を多様化させる生存戦略の一つなのだろう。
その為、実生での栽培は収穫量が不安定なのも事実なので、出来るだけ沢山蒔いてリスクヘッジするとともに、それぞれの個性を活かす形で育てれば、より上手く行く確率も上がるのではないかと思います。



そして今回、もっとも印象的な収穫となったのが再生ジャガイモ三世である。
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前回では、早くに枯れた株から数個だけ初収穫されていたが、今回は青味を残している個体も含めて全て抜き取る事に。
定植していた期間と時期を考えれば、もう掘り出しても問題ないはず。



して、慎重に土を掘り起こして行きますと…。
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小ぶりながらコロコロと出現。
妙に細身なイモも混ざりつつ、一つの株につき幾つかの数が纏まっている。


お次もミニイモだけど、ちゃんとジャガイモとして完成している。
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その他の株については、小さいイモが単発だったり、あるいは何故か全く無いものなどもあり、結実率にはバラつきが多かった。
この点に関しては育苗期の生育状況からして予測出来ていたことではあるし、もともと小さいタネイモを更に分割していたので当然の結果とは言える。

その意味では、もうチョイ大きなタネイモを使ったり、肥料を足すなどで工夫する余地があったのも確かだ。
もっと成長率と結実率、そして収量を上げるに、改めて色々と試してみたいところである。



今回の収穫物であるシン・ジャガイモ、いや新ジャガを並べてみた。
どれも小ぶりなので質量としては大したこと無いが、数だけなら意外と揃った形である。
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画像の中央で区分けしているが、右側には可食部の大きく質感の良いイモを。
多少の虫食いもあるにはあるが、そこは切除すれば良いだけなので無問題。

左側は小さすぎたりイビツだったり、はたまた既に芽が出ていたりするイモを纏めてみた。
この左側のイモについては、またタネイモに使えるか検討するため保管中である。


ちなみに、その味については完全なるジャガイモとして再現されていた。
昨年度はカレーに、今回は味噌汁の具になりましたが、いずれもホクホクで何ら問題なく普通に美味しく食べる事が出来ています。

今回も自然の恵みをありがとう、ごちそうさまでした。



さて、今回の結果により、昨年度は「皮」だけだったジャガイモが再生→それをタネイモに再び栽培できる事が判った。
一連の時系列を並べると、以下の流れでサイクルが完成した形である。
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その再現性については、矮小化したイモが多いため成長率に課題があるとしても、少なくとも残骸に利用価値があるのは確かだと言えましょう。
また先述した様に、栽培に関して工夫出来る余地が色々とあるので、上手くやればサイズの増大化、そして収量増だって不可能ではないかも知れません。

あとは、今回に収穫したイモをタネイモに使ってみてどうなるか。
まだまだ検証しがいがありそうです。




おまけシリーズ。



これはハナバチの仲間で、たぶん調べた限りではトラマルハナバチと思われる。
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ここ数年は不作気味だった事もあり、あまりミツバチやハナバチの姿が無かったのだが、今期は久しぶりに沢山飛来してくれていた。

当プロジェクト一期生(2018年)では羽音が凄まじいほどにハチだらけだったが、今期はそこまでの数でないにしろ種類に関しては過去イチじゃないかと思うほど。
夢中で花に頭つっ込んでる姿は、やはり見ていて安心するものがあります。



ニジュウヤホシテントウ
昨年度は好物のジャガイモに居たが、今期はトマトに。
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しかし、今回はいつの間にか居なくなっていたので、特に捕まえて駆除する事も無く済んでいる。
実際の理由は不明だが、もしや前回で噴霧した木酢液を避けていたのだろうか。


前回といい、今年の菜園は賑やかで観察しごたえがあります。
野菜の成長に昆虫の様子など、つくづく発見の連続なのでありました。




では、また、CUL。

食べ蒔き番外編・挿し木した再生ジャガイモに小イモが出来てた話

今期のジャガイモにおいては試験的に、二種類の挿し木株を幾つか作っている。


挿し木にした理由は、過去にトマトの挿し木が上手く行った事と、ゴーヤでも先端部だけを挿し木にして回復した様子を確認していたから。
ならばとジャガイモでも試してみたのだった。
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今回は、それらの結果と感想を記して行きましょう。



さて、先ずは「ダンゴムシに噛られて途中から折れてしまった個体の先端部」を挿し木した株について。
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上記リンク6月上旬より約1ヶ月ほど経過した、7月上旬頃の苗がコチラである。
※画像の苗はリンク先の個体とは別の挿し木苗です。
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単に先端部をポットに挿して水を与えていただけにも関わらず、意外とマトモな姿まで回復し、そこから成長もしている。


ただ、その成長率にはバラつきがあり、もともと細い個体(もしくは部位)は、挿し木にしても細いままだった印象。
やはり葉が生い茂っている個体の方が、その後の成長率も高いです。
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成長率の高そうな個体をポットから抜いて根の状態を確認すると、根が復活しており密度も良さげ。
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さらに土を崩してみると、小さなイモが形成されていた。
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随分と矮小化しているので、果たしてここから大きくなるのか、またタネイモに使えるのかまでは未確認だけど、少なくとも途中から折れた部位を挿し木にして回復するところまでは判った。

わざわざやる価値があるかは別にして、もしダンゴムシやワラジムシに噛られてしまったとしても、挿し木にすれば予備として使える可能性だけはある様に思われます。



そして、もう一種が「側枝」を挿し木した株となっている。
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しかし以前の記事において、この側枝を挿し木にした株については、結果的に上手く行かなかった事を記していた。


上の画像は、その前回記事から約1か月後の姿であるが、個体としては自立していても根が成長しておらず、定植に耐えそうな状態ではなかった。
そして実際に定植しても、殆ど成長しないか途中で枯れて無くなるパターンで終わっている。

これが側枝を挿し木にしたせいなのか、あるいはシーズンの問題(試したのが成長期ではなく収穫期に入ってたから)なのかは判然としないが、トマトの脇芽みたいに簡単に復活して株分けまで出来る訳では無さそうである。



以上が実験結果となるが、興味があるなら試すのはアリかなと言ったところ。
仮に上手く行かない確率が高かったとしても、もしかするとイケてるパターンが出るとも限らないですからね。

結局は何の参考ならない話ばかりでしたが、これも一つの例と言う事で。




では、また、CUL。

食べ蒔き2021年7月下旬・開花着果ラッシュの中で再生ジャガイモを収穫したり木酢液で食害対策したり

前回の7月上旬から飛んで、今回は下旬の話。
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あれから更なる高度成長期に突入した作物たちも、開花そして着果のラッシュが訪れる事となる。



まずはゴーヤに着果。
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毎年の事だが、梅雨までは徐々にしか伸びないのに、気候が本格的に夏になると急成長。
そこから一気に開花し着果まで行くのが凄い。
まさに旬のチカラであろう。



同じくトマトも開花が続いている。
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ただ、今期のトマトに関しては全体的に開花数が少ない印象。
これがタネの性質によるものなのか、はたまた他の要因によるものなのかまでは判然としない。
更に言えば、ここ数年は連作障害の疑いがあり不作の傾向にあるのも気になるところ。

なので、今期は以前のスペースから完全にズラした位置で育てているのだが、今のところ劇的な変化などは無い様である。
しかしながら、それでも必ず一定の成長率までは生育してくれるのが有り難いところ。
その育てやすさからして、毎年ゴーヤと共に外せない存在なのであります。



お次はメロンである。
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こちらも今期の初回から記してきた様に、ここ数年メロンやスイカは完全な不作が続いており、今年に関しても「ただ生えてるだけ」となっている。
しかも、今期のメロンは着果すら確認できていないので、恐らくは本格的に連作障害が起きているものと考えられる。
現状、葉の表面にも黄色くまだら模様が出ているし、外見上からして完調ではなさそうだ。

そんな訳で、今は菜園に彩りを添える者として存在させているだけで、今後も自然まかせのまま置いておく事にする。



最後に再生ジャガイモであるが、夏が本格化するにつれ急に色褪せてきた個体も出始めてきた。
こうなると、そろそろ収穫期であろう。
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その中でも、まだ青々とした個体もあるなど、株ごとの個性は様々である。
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しかし、それら青々とした個体に関しては、依然として虫に食われやすい状況にある様子。
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上記画像、葉の表面にポツポツいる黒い虫は「ナスノミハムシ(ナストビハムシ)」と言うハムシの仲間で、その名の通りナスやジャガイモの害虫として有名なんだとか。
今回、初めて見知った虫なのだけど、昨年度は一切居なかったので、どこからか匂いを嗅ぎ付けて飛来したと言う事なのだろうか。

その特徴としては、ハムシなのに異様に太股が太く、その名のとおりノミの如くピュンッと跳ね飛び、逃げるスピードも早くて捕まえにくい。
しかも、非常に小さい上に表面もツルツルなので、なおさら手掴みでの除去は難儀する。



しかしながら、ダンゴムシといいハムシといい、さすがに食われっぱなしではキツい。
このまま定着して増えても困るので、ここで一つ対策を打つ事とした。


そこで使用したのが「木酢液」である。
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これは中古品だったものを入手。
いくらか使用済みで随分と長いあいだ保管されていた様だったが、どうあれ中身が使えれば良いんです。


これを先のハムシにプシュッと直接スプレーしてみた所、それを嫌がるかの様に次々と逃げたりポロポロ地面に落ちて行くではないか。
しかも、これ以降まったく現れなくなったので、もしや本当に効果アリだったか。
ならばとばかりに以降、すべての作物にスプレーする事となる。

今回、初めて木酢液を使ってみたけど、どうやら効果があるらしい事がわかった。
ただ、木を燃した煙から生成されただけあって、これがけっこうな焦げ臭さを放っており、服に付くと洗濯するまで取れなかった。
なので、使う際は服や洗濯物などに移らぬよう注意が必要である。



そして、そこから更に1週間から10日ほど過ぎる頃になって、遂に再生ジャガイモ三世の収穫にこぎつける。
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数や形は不揃いだけど、確かにイモが完成したのであります。


この時はまだ試験的に細目の個体を掘り出したもので、全体的に青みも残っている。
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その根には小さなイモが形成されていた。
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なので、まだ大きくなる余地があるのかと思い植え直したのだが、暫くして枯れて無くなってしまった。
どうやらイモが形成されていても、シーズンを過ぎると自動的に活動を終えてしまうのだろう。



畑には、他にも既に枯れきってしまった個体がチラホラある。
これは早めに掘り出すしかあるまい。
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そんな訳で次回、本格的に再生ジャガイモの収穫へ。




おまけシリーズ。



菜園に飛んできたジャノメシジミ(ヒメウラナミジャノメ)。
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今年はいつになく蝶類が飛来していて、特にシジミチョウやモンシロシチョウの仲間が非常に多かった。
先のナストビハムシと違って、こうした蝶類は受粉してくれるので歓迎である。


家庭菜園を始めてから、現れる昆虫が年によって微妙に違う事に気付くシーンが度々ある。
生物って当り年、外れ年みたいのがあって、いつぞやの年はカマキリだらけだったのに、以降はパッタリ姿が無くなっていたりする。
恐らくは蝶類にもあるんだろうけど、たぶん増えたら増えたでエサや縄張りの取り合いになったり、天敵も増えたりで自然と減ってしまうのだろう。

栄枯盛衰じゃないけど、そんなサイクルで自然は回っているのかも知れないなぁと思う夏空の下であった。




では、また、CUL。

食べ蒔き番外編・インスタントコーヒーと根昆布粉末を肥料にした際の注意点や有効性から思い付いた食品廃棄物をフリーズドライ化させる案

当プロジェクトでは毎年、トリッキーな肥料を使用している。


家庭菜園を始めた当初や、シーズン初期の育苗期こそ普通の化成肥料などを使ってはいるが、時に有機物なら何でも投入して肥料になりうるか実験することも度々。
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それらは多分、おおよそ普通の菜園では使わないであろう一般論を逸脱したアイテムばかり。
かの雲のジュウザも「我が農法は我流、我流は荒唐無稽!」などと、言ったとか言わないとか。



そんな戯れ言は置くとして、今期の変態的な肥料と感想を綴って行きましょう。



先ずは5月上旬頃に撒いた元肥
ズバリ、粉末のインスタントコーヒーである。
※銘柄は伏せますので察して下さいまし。
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これはリサイクルショップの無料品の中から入手した未開封のもの。
賞味期限は何と1994年8月、製造年にいたっては91年と実に30年程の月日が経過している、ある意味伝説のヴィンテージアイテムである。
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ほんで、おそるおそる中蓋の銀紙を剥がしてオイニーをスンスンしてみた所、これが実に豊かなアロマ漂うコーヒーではありませんか。
その香りまさにユーロ・コーヒーネス(90年代当時のCMのキャッチコピー)。
正直、このまま飲んでも問題なさそうなほどフレッシュな印象すらある。


しかしながら、いくら未開封とは言えど、普通に考えればウン十年も前のコーヒーを飲む気にはなれない。
だが、きっと厳選された豆だけに栄養価も高いだろうし、ちゃんと土壌に分解された後ならば肥料としても有効なはず。
そう思い込み、耕したばかりの表土にまんべんなくバラ撒いたのだが…。


しかし実は最近になって調べてみたところ、コーヒーには発芽抑制物質が含まれていて、そのままでは肥料には向かないとの話を多数発見。
本来なら「発酵させて堆肥化していないものでは生育が阻害される」とまで言うではないか。

なんたる迂闊…!

よくよく考れば、いくら有機成分であろうと本当に肥料に向くかどうかは別問題だし、ましてや逆効果では意味が無くなってしまうではないか。
よもや、いつものノリで撒いたのが裏目に出てしまった。

ただ幸いだったのは、その量自体が菜園の面積に対して少なかったからなのか、結果的には発芽から収穫まで行く事も出来ていたので、影響は少なく済んだ方なのかも知れない。
また、撒いた後にオガクズや雑草を敷いた事で、辛うじて発酵が促進された可能性もあるが、何にせよ、事前に調べておくのは大事だと再認識した次第であります。


ちなみに、撒いて暫くのあいだは畑からコーヒーの香りが漂う事となる。
思いのほか強い匂いを放っていたので、なんとなく喫茶店みたいな気分が味わえる。
考えようによってはオシャレな畑だと言えなくもないし、フツーの堆肥よりご近所さんの印象も良くなったりして。

更に調べてみると、既に発酵肥料として製品化されている例もある様で、もし先の発芽抑制物質が本格的に無害化されれば更なる可能性が広がるように思われる。
コーヒーブームの昨今、廃棄される出ガラシも大量にあるだろうし、何かしら活用の手段があっても良いはず。
チャレンジ精神溢れる事業者の方、これはチャンスかも知れませんよ。



では次に、生育期間中に追肥したのが「粉末根昆布」である。
これもリサイクルショップにて入手。
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ご覧の通り、前出のコーヒーと同じく賞味期限が2016年と随分時間が経っていて、もはや食用に向く品質では無いはずだ。
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それでも、海藻を肥料に使う農法が存在する以上は利用価値があるに違いない。
試しにネットで調べてみると、海藻を粉末化した肥料が売られており、普通に撒くだけでも使える様である。


これならば土壌への分解と還元も早いはず。
そう考えて、これを成長期の7月頃に作物の株元へ散布し、水を撒いて浸透させる事に。
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ここへ来て思ったのが、コーヒーにしろ昆布にしろ、粉末にした方が肥料として使い勝手が良いんじゃないかと言う点である。

その方が水に溶けやすく植物への吸収率も上がるだろうし、保存性も高くなりそうな気がする。
また、土壌への浸透も早いぶん病害虫が湧くリスクの軽減も期待出来る。
実際、カキ殻などを粉末化させた土壌改良剤があるくらいだし、有効性はあるはずだ。


となれば、食品廃棄物を処理する際に生じる臭いや雑菌を抑制する解決策として、「フリーズドライ」にすると言うのも一手かも知れない。

その機械をスーパーや飲食店などの事業者で導入して独自に製品化するか、あるいは処理場で粉末化させた後に、肥料法などの基準をクリアさせて流通すれば相当な需要が見込めるのではなかろうか。

特に、魚なら昔から魚粉が存在するのだし、肥料のみならず配合エサやコマセとしても使い勝手良さそうに思われる。
その他の野菜や肉類にしても、余った部位や残骸は間違いなく栄養価が高いのだから、利活用しない手はないはず。

そう考えると、生ゴミの可能性は広がりますな。
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さて、以上が今期の変態的肥料シリーズでありますが、その効果については「謎」であるのが正直なところ。
これまで色々と使ってきた割には、劇的に生育が良くなったとか、収量が上がったとか、そういった判りやすい現象が顕れた訳では無いのが実情だったりします。

しかしながら、何故こういったアイテムばかりを使うかについて述べるとすれば、幾ら賞味期限切れの食品であろうとペットフードであろうと、それが有機物として形が残っている限り、活かせる余地があると考えているからです。

もっとも、半分はジョークみたいな感覚で使っているだけの話ではありますが、少なくとも肥料として「足し」ににはなっているだろうし、全く何もしないよりはマシかなぁと。
ましてや、未開封で使われず捨てられるなんて切ないじゃないですか。

勿論、そういった中には上記した「コーヒーそのまま」の様に、植物にとって問題となるパターンもありえます。
したがって、成分が如何に影響するのか未知数なうちは迂闊に使わず、重ねて本当に大丈夫なのかどうか事前に調べておく事をお勧めします。


と、自分にも言い聞かせるのでありました。




では、また、CUL。

食べ蒔き2021年7月上旬・ゴーヤもトマトも成長期

前回は、地熱を活かした直播きでの発芽に成功。
更なる生育を促すべく育苗を継続している所であった。
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そこから飛んで約1か月後、梅雨の間にたっぷり水分を吸収しつつ、次第に気温も夏らしさが出るにつれ高度成長期へと突入する事となります。



まずは畑に組んだヤグラの周りを、それぞれの作物が囲み始めている。
前回の発芽以降、しばらくの間は成長が停滞し空間全体がスカスカだったのが、昼夜の気温が暖かくなるにつれ伸び率と密度が増してきた。
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梅雨の間までは頼りなく小さかったゴーヤもヤグラの支柱に絡む様になり、一気に成長が勢いづく。
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同様にトマトもムクムクと上昇中。
成長率にはバラツキがあるものの、これといった問題は無さそうだ。
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これはスイカだが、既に前々回で触れた通り今期は収穫まで行く事は出来なかった。
従って今は「生えてるだけ」の状態なのだけど、蜂の誘引役として置いたままにしておきます。
それに、色々と生えてた方が賑やかになるし。
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そして、今期の初回から触れているのが、この再生ジャガイモ。
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5月の定植から安定した生育状況で、まだまだ成長中。
画像がゴチャついてて判りにくいけど、幾つかの株から葉が繁っていてワサワサ密集してます。


ただ、少しだけ問題があるとすれば、相変わらずダンゴムシとワラジムシの食害がある事か。
前回は貧弱な株が丸ハゲにされていたが、現在は健康であっても結構なダメージを負っている株もある。
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健康な株の場合、大体は上の画像の様に噛られた箇所が回復してギリギリ持ちこたえたり、新芽が出て復活するなどで生き残る事は可能なのだが、状況としてはよろしくない。
気付いた時に手掴みで除去してはいるが、それでも持たない株については放置しているのが実情である。



ちなみに、成長期なのに伴って側枝?もワサワサ生えている。
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何となく、これだけ生えていれば利用価値がありそうな気がしたので、幾つか元気の良い側枝を千切り取って挿し木にしてみる。
どうにもタネイモから出る脇芽を挿し木で増やす方法があるらしいので、なら側枝でもと試してみたのだ。
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だが結論を言えば、この「側枝の」挿し木は上手くいかなかった。
その理由は、根が復活せず、定植に耐えうるクオリティまで生育しなかったからである。

でも何故、「側枝の」と言う表現をしたかと言えば、実は前回で紹介した「ダンゴムシに噛られて途中から折れた個体の先端部」を挿し木した株は根が復活し、イモが形成されていたからだったりする。

それについては、いずれ番外編にて詳しく綴りたいと思います。




おまけシリーズ。



近所で発見したラミーカミキリ
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一瞬ルリボシカミキリかと思ったが、何かが違うのでネットで調べてみたら名前が判明。

このカミキリは明治期あたりに移入してきた外来種とされている様で、もとは西日本に分布していたのが、近年の温暖化によって生息域を北上させていると言う。


今回初めて発見したが、その色彩は中々のもの。
その出自が何処であれ観賞用としては楽しめるルックスに違いない。
ここに黄色のトラカミキリが加われば、青色のラミーカミキリとで彩り豊かな光景になりそう。

こういうデーハーな昆虫って、理屈抜きに気を引く存在感があるなぁと思った一時であった。





では、また、CUL。

食べ蒔き2021年6月上旬・一斉に発芽が始まる。

前回は外気温の高さに伴う地温を利用し、直播きを実施。
その表土にオガクズや雑草を敷きつめ地熱を高めながら、発芽を待っている所であった。
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それから約1週間ほど経過したあたりから、一斉に発芽が始まったのであります。



まずはトマトがコニャニャチワ。
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この画像以外にも複数発芽し、上々の出だし。
まだミニマムな姿なれど、表土に敷かれたオガクズの層をものともせず破り出てくる所が逞しい。



こちらは多分、スイカかメロンのどちらか。
多分って何だよって話ですが、いずれにせよ両方発芽してくれてます。
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これはメロン。
既にウリバエが陣取っているので警戒が必要かと思いきや、今期は思いのほか数が少なく大した被害を受けなかったので、基本的には放置で済む事となる。
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そしてゴーヤも登場。
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今期のゴーヤは畑以外のスペースでも直播きでの発芽を試していて、上の画像はそこから移植してきた後に撮影したものである。

だがしかし、この移植に耐えられず枯れた個体も結構な数あったりする。
一応、成長率の高い個体であれば移植にも耐えてくれますが、基本的に発芽直後の苗では体力的負担が大きいので避けた方が無難。
今期は、そこから生き残った健康な個体を中心に収穫まで行く事となる。



次もゴーヤなのだが、画像右端の個体は苗の姿なのに、左端の個体はまだ発芽途中の状態である。
この発芽が遅れたタネは「野外で完全放置して冬越し」させたもので、前回の記事でも発芽率や成長率が低い事を記していた。
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この様に、同じ条件下で同時期に蒔いたタネでも、その品質により発芽まで約一週間~二週間ほどのズレが生じたり、上手く生育しないパターンもあったりする。
その為、スカスカになりそうだったスペースに前出の健康体のゴーヤを移植して、間を埋めたと言うわけ。

そういったリスクヘッジの意味で、「畑とは別の場所で発芽させて予備を作っておく」のも一手です。
いざという時に移植してメインに昇格させたり出来ますし、予備は予備として育てたままでも良いですからね。



最後に、5月上旬に定植した再生ジャガイモなのだが…。
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一部の貧弱な個体はダンゴムシやワラジムシに食べ尽くされていた。
脇から新芽が生えてはいるが、こういった個体は元から成長率そのものが低く、収穫まで行かないパターンになりがち。

逆に、健康な個体は全く食害を受けないか、受けても微少なダメージで済んだり、そこから普通に回復してくれる確率が高い。
現状での画像は撮っていないものの、実際、他に定植した個体は今もスクスク成長中で、結果的に収穫まで持ちこたえてくれていた。



ちなみに、こういったダメージで個体数が減少するシーンに備えて、挿し木した苗も用意してみた。
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これは確か、上記のダンゴムシに噛られて途中から折れてしまった個体の先端部を挿し木したもので、そこから再生するか試してみたところ。
やり方は単純に、ポリポットに土を入れて水をヒタヒタに注いだ所へ、折れた先端部を差し込んだだけ。

参考にしたのは、過去に行ったトマトとゴーヤの挿し木である。
culrides.hatenablog.com

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ただ、基本的にジャガイモにおける挿し木って成長率が低くなりがちで意味が無いとされているらしいけど、そこは実験的なプロジェクトなので気にせず行ってみます。



てな具合で、続々と役者が出揃い始めました。

ここから収穫まで生育を続けて行きましょう。




では、また、CUL。

食べ蒔き2021年5月下旬・色々な品種を直播きで試してみた感想と失敗談

前回までに、「皮から再生したジャガイモ」をタネイモにした苗が完成し、定植するところまで完了。
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特に画像は無いのだけど、その後も順調に成長しており、更なる生育を待っている状況であります。



それから5月に突入すると、この時期にしては珍しく日中の気温が30℃に達するなど、例年以上に暖かい日も多かった。

そこで、この機に乗じて他の作物も発芽させるべくチャレンジ開始。
今期も直播き、すなわち単純に畑へ直接埋める方式を採用してみた。
現在の気温と地熱の高さを利用し、一気に生育を促す作戦である。


ちなみに、昨年度は保温パック(卵パック)での発芽が上手く行かなくて半ばヤケクソで直播きしていたのだけど、その方が結果的に発芽率が高かった。
もし今回も気候的に近いシチュエーションだとすれば、最初から直播きした方が早いはず。
そんな推測のもと、夏野菜のタネを中心に手当たり次第埋めて行く事に。
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やり方は上記リンクに準ずるが、工程は至ってシンプル。
耕した土にタネを埋めたのち、その表土をオガクズでしっかりと覆い、水を与えるだけ。
更に、その上を除草した雑草の束で覆えばパーペキ。
これにより、土壌の保温と保湿を維持する事で、ビニール・マルチと同様の効果が期待できる。
特にオガクズの量は多い方が発芽率も高まる印象であった。


ただし注意点としては、オガクズが多いせいでダンゴムシ等も発生しやすくなり、芽を食い荒らされる場面も多くなってしまう点である。

この場合、貧弱な個体ほど食害に遭う率が高く、苗を丸ハゲにされた事例も何度か起きている。
逆に、健康な個体は免疫力が強いので弾き返す事が出来るし回復力も高いのだが、それでも噛りまくられる時があり油断は出来ない。
あまりに酷い様なら、何らかの防除手段を講じる必要があるでしょう。
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かくして、以下が試したタネの結果と、その感想であります。



まずは定番のゴーヤから。
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これは昨年度に黄色く成熟した果実から取り出したタネを、実験的に「野外で完全放置」していたもの。
まさしく、土の上で数ヶ月のあいだ風雨に晒され、冬越ししていたタネである。
その外観は野外で放置プレイされていただけあって、やや黒っぽくススけた感じになっている。

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野外で放置していた理由は、そうした方が雑草と同じくらいタフに育つ個体になる様な気がしたから。
つまり、室内保管より厳しい環境を生き抜けば、より病害虫にも強くなり、栽培の手間も少なくなるのではないかと考えたのだ。


だが、さすがに土の上では環境が厳しすぎたのか、その中身は通常より少し茶色くくすんだ色あいをしている。
そして実際の発芽率、成長率ともに低い印象であった。
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う~ん、さすがに雑草ほど上手くは行かないか。
でも、シソなんて野外で放置してようが雑草並みにタフで、タネを野晒しにしてようが一年後にはワサワサ生えてくるんだよなぁ。
実生で世代を繋げるゴーヤでも、出来ない事なさそうに思うんだが…。

この「野外で何をせずとも世代が生え代われるかどうか」の違いこそ、恐らく「雑草」と「作物」を分かつ明確な違いなんだろなと思う結果であった。



次もゴーヤだが、こちらも同じく野外で完全放置していたもの。
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しかも黄色く変色した果実が破裂した当時の姿のままドライフルーツ化し、数ヶ月のあいだ放置され続けていた強者である。
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放置された頃まではカビやらコケようなものが表面に纏わりついていていたのだが、それらも冬を越した今はカッピカピに乾燥しきっている。


ただ、前出のものと少し違うのが、同じ野外でも「直接風雨に当たらない家の軒下」で保管していた点である。
その分、タネの外観は綺麗な感じがするし、質感も良好だ。
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中身を確認してみると、先ほどのタネより青っぽさが残っていて健康そうな印象。
そして、今期で最も発芽率・成長率ともに高かったのがこのタネである。
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考えれば当たり前だが、土に直接触れるとバクテリアに分解されたり紫外線などによって劣化してしまう率も高くなるのだろう。
となれば、野外で放置するにしても風雨に直接晒される場所よりは、軒下に置くなり何かしら容器に入れた方が風化が防げるのかも知れない。

結局、雑草並みに植物本来の生存能力を引き出すにも、外的環境とのバランスが重要なんですな。



次に、こちらも恒例のトマトである。
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これは確か、画像の左が新規で採種したタネで、右が昨年度の収穫物から採種したタネである。
結論から言えば、今年は一定量の収穫に恵まれる事となる。


しかしながら正直なところ、どちらの発芽率が高かったかについては記憶が定かでなかったりする。
確かだが、新規の方が高く、収穫物由来の方は殆ど生えなかった様な。
実際、採種した当時も「期待が持てない質感」だと記していたけども。
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なので、その生えなかったスペースに間延びさせる形で、次々に苗を植え替えてるうちにどっちだか判らなくなったと言う。

いやはや、当方の管理不足ゆえ曖昧で申し訳ありませぬ。
ここから先の記事では、シンプルに「実生でも育った」とだけお読み下さいまし。



でもって、ここから先は上手く行かなかったシリーズ。


まずはメロンとスイカである。
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かつて一期生の時(2018年度)では、どのタネも発芽率が高く、そして実際に収穫量としても成績が伴っていた。
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しかし、以降の年からは殆ど成長しないパターンや、極端に矮小化したりなどで不作が続いている。
この要因も様々であるが、今のところ連作障害が最も有力で、他にも肥料不足やタネ自体の生命力低下などが関係しているものと考えられる。
それゆえ、ハナから期待出来ない状況であった。

そして、結論から言って今期もメロンとスイカともに生えたのだが、殆どが貧弱な個体ばかりで、やはり生育途中で枯れたり着果しないパターンを繰り返す事に。
ちなみに、スイカに関しては以降の記事でも登場するが、どちらにせよ上手く行かなかったのが現実である。


こうなると、もはや当プロジェクトの菜園でメロンやスイカ、カボチャなどを作るのは難しいのかも知れない。
それとも、もしや普通のタネなら問題なく育つのだろうか。
疑問は尽きないが、仮に次期があるとしても、まるっきり別の作物に変える必要はありそうだ。



更に、今度は発芽そのものに失敗したシリーズである。


まずは古いキュウリとナスのタネで、ちゃんとしたメーカーの未開封品。
これらはリサイクルショップにて無料で入手したもの。
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なのだが、採種年月が昭和62年つまり1987年。
実に数十年の時を経て、再び蒔いてみたのだ。


して、結論を言えば全く一粒として生えて来なかった。
そりゃもう、ウンともスンとも言わず何も起きなかった。
もっとも半ば冗談半分ではあったし、これまでも何度か古いタネを試しては失敗しまくっているので、分かりきった結果ではある。


ただ、そうまでして試した理由を述べるとすれば、希に古代の遺跡やら土器なんかから発見された昔のタネが、奇跡的に発芽したとのニュースを耳にしていたからでもある。
ならば、十数年~数十年程度の経過ならイケるんじゃないか、なんて思ったのだ。

無論、そんな浅はかな狙いがそうそう当たるハズも無く、やはりタネは新しいに越した事は無いと再認識。
上記画像のパッケージに表記されている発芽率の欄には「現在80%」とあるが、一定期間を過ぎてしまうと一気に劣化してしまう様だ。


当プロジェクトでも過去に「二年越しのタネでは一気に発芽率や生命力が落ちる」との観測結果を得ているし、基本的に一年で生え代わる作物は、その生命サイクルを前提にタネも設計されているのだろう。
この様な実験を菜園でやる意味は無いし、せめて空いたスペースに留めておくのが賢明である。

でも、やっぱり、数射ちゃ当たる気がするんだよな~(まだ言うか)。



そんな訳で、試した品種は幾つかあれど、結果的にゴーヤとトマトを中心とした馴染みのメンツで行く事となる。

その経過も、追って観察して行きましょう。




では、また、CUL。

食べ蒔き2021年5月上旬・再生ジャガイモの苗が完成したので定植

前回は、昨年2020年度に「剥いたあとの残骸となった皮から再生したジャガイモ」をタネイモに使い、育苗を開始。
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切り分けたタネイモをポリポットに仕込み、様子を伺っていた。



そこから約1ヶ月を経て、5月上旬になった頃の姿が以下の画像である。
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何とか発芽が上手く行き、苗木まで生育してくれてます。



成長率やサイズには多少バラつきがあるものの、いずれも元気そうな様子。
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中には、一つのポットから何個か芽が出ていたりして、それぞれの個性も顕れている。
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取り出してみると、根の所々に小さなイモが形成されている。
まだ幼い苗なれど、既に本格的な成長は始まっている様だ。
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この成長率ならば植え替えにも耐えられると判断し、すみやかに畑へと定植。
こまめに水を与えつつ更なる成長を促していきます。
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ちなみに、今期の畑は「土を耕してからフラットに均す」方式にしてみた。
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昨年度は「土は耕さずそのまま」の、いわゆる不耕起栽培であったが、何となくジャガイモには土壌が固く締まりすぎて不向きだと思ったのと、やはり根の成長を促すには耕す方が良いんじゃないかと判断。
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更に、今期も畝だてはせずに「平らに均したまま」で行く事にした。
この理由は上記リンクにも記したのだけど、何となくフラットな方が保水性が高い気がするから。
つまり、畝だてでは「線」での保水となるが、土壌の「全面」で水を受け止めた方が面積や体積が大きく稼げるのではないかと考えたのだ。

これにより春先の育苗期や、夏場の成長期にかけて乾燥が続く場合に湿度を確保するほか、フラットな事で作物どうしの根が絡み合い、より保水効果が上がると予想。
しかも、畝だてするより遥かに作業の手間もいらず楽なのがメリットである。

逆にデメリットとしては、水捌け効率が下がってしまい、作物によっては湿度が高くなり過ぎて裂果をおこしやすくなる可能性がありうる。
しかも、フラットにした事で他の作物との境目が曖昧になり、誤って踏みつけてしまう事もしばしば起きる。


今のところ、これに関しての科学的根拠は曖昧だし、実際の効果としても確証を得ていないのが実情である。
とりあえず昨年度の感想を言えば、あまりに高温な夏場はパサパサに土壌が乾燥してしまうシーンも多く普通に水やりが必要だった。
また、大雨で濡れても直ぐに浸透するので酷くぬかるむ事はないが、土壌面が広いぶん雑草もスクスク成長しやすい環境になる印象も受けた。

こうなると畝だてとメリット・デメリットの差が無い様な感じがしなくもない。
試すかどうかは判断の分かれる所ですが、とりあえずは「これでも育つ」ことは確かでありました。



そんな訳で定植は完了。
果たして収穫なるか、経過を追って行きましょう。




では、また、CUL。

食べ蒔き2021年4月上旬・再生ジャガイモ三世の育苗開始

お久しぶりです。

半ば放置されていた当ブログですが、暫くぶりの更新であります。
お時間の許す限りでもお付き合い頂けますと幸いです。



さて、今期となる2021年も食べ蒔きを、つまり実生での家庭菜園を行っていました。
なんだかんだで当プロジェクトも今年で四年目、さしずめ食べ蒔き4G(今は5Gの時代だけど)といったところであります。

これまでの経緯は下記リンクに記していますので、ご興味がありましたら是非。
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やっている事は例年と変わらず、育てている野菜も殆ど同じである。

しかし毎度同じ作物ながら新たな現象が発見されたりで、興味が尽きないのも面白いところ。
毎年何かしら違う点があるし、その違いが何なのかを謎解きしながら進めるのが家庭菜園の醍醐味じゃないかと思ったりで。

そんな今期の、特にトピックとなりそうな部分をかいつまんで記述して参りましょう。



●再生ジャガイモ三世の育苗開始●

今年の4月上旬になり本格的に暖かさが増してきた頃合いで、昨年2020年度に「剥いたあとの残骸となった皮から再生したジャガイモ」をタネイモに使い、再び栽培出来るかチャレンジを開始。

つまり、「皮(一世)」→「皮から再生した二世」→「二世をタネイモにした三世」のサイクルが可能か検証してみたのだ。


ちなみに昨年度の様子が以下の記事である。
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そこで収穫された中から、小粒すぎたり虫食いでキズモノになっていた物を保存していた。
※上のリンク先では「虫食いのイモは土に埋め戻した」と記述しているが、正解には食われた部位だけ処分していた記憶が。ちと曖昧ですみません。
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上記画像は、2020年8月の収穫直後から約8ヶ月間にわたり倉庫で保管しっぱなしだったもの。
正確に言えば、画像左が虫食いだったイモで、患部を切除してから広告チラシに包んで保存。
そして画像右の小粒なイモは、掘り出して軽く洗い、乾かしてから紙コップに入れて蓋もせず放置していた。


いずれも保存の間に芽が出て来ていたものの、この春になっても表面がパサついてシワが出た以外はいたってマトモだ。
特に枯れたり腐ったりはしていないし、病気なども広がった様子はなかった。
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保存にあたり施した処置と言えば、虫食いイモの表面や切除後の患部の切り口に「未使用の黒ぼく土」を擦り付けたくらい。
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基本的には草木灰なんかを使うらしいのだけど、今回は土でも問題なかった。
さらに、湿度や温度管理もせず、常温のまま単に暗所に保管していただけの事を思えば、なかなか良い保存状態をキープ出来ていたのかも知れない。



ただ、このタネイモの保存方法に関してネットで調べてみる限り、本来ならもっと繊細かつ神経質に取り扱って管理するのが基本である様だ。
更に、「収穫されたイモをタネイモに使うのは勧めない」との解説が主で、原則的には「栽培する毎に新しく買った方が良い」ともされている。

確かに、大規模な農家や収量の多い菜園ならば病害虫が湧かない様に、被害が拡大しない様に取り扱う必要があるのは間違いない。
実際に今年、九州でサツマイモの病気が広がって大幅な減産を余儀なくされてしまい、他県から無病のタネイモを融通してもらっているとの話があった位である。

何にせよ病原菌の遺伝や蔓延を防ぐためにも、常に品質が担保された綺麗なイモを使う方がリスクヘッジになるし、それこそ病害虫の懸念が大きい場所では、適当な方法ではリスク要因にもなりかねない。
今回はたまたま保存が上手く行っただけで、どこの場所でも応用が利く訳ではないだろう事を考えれば、やはり基本に従うのが無難と言えます。

したがって当プロジェクトでの事例は実験的な試みなので、「へー、あ、そ」程度に読んで下さいな。



ともあれ、ひとまず今回のタネイモが無事に使えそうな状態である事は分かった。
そこで更に苗を最大限に増やすため、芽が出ている部分を切り分けて分割。
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後々に知ったのだが、本来はイモを「縦」に切り分けるのが正解だったらしく、ろくすっぽ調べもせず勢いで全部「横」に輪切りしてしまった。
ま、それでも生えればヨシと言う事で。



これらをポリポットへ浅めに入れて土を被せたら、後は乾かない程度に水を与えつつ様子を探って行きましょう。




では、また、CUL。

2020年は植物の生え方にサッパリ元気が無かった事と、その要因として考えられる仮説 その②「雷による刺激が少なかった」

前回、2020年は近隣の雑草の成長率が低く、家庭菜園でも発芽に手間取った要因として、2019年末からの暖冬により「冬越しが上手く行かなかった」のではないか。

そして、そのせいでタネの休眠期間も中途半端に終わってしまい、いざ発芽から成長の時になって「正常に生体機能が切り替わらなくなってしまった」のではないかと考察しました。
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しかし、植物の生命力や成長率を決定付ける要因は多様なはずで、上記が全ての答えであると断定する事は出来ないだろう。

ここでは更にもう1つ、植物に元気が無かった大きな理由として、2020年は「雷」が少なかった事も影響していたのではないかと考えられるのだ。


前回までの仮説①と併せて、以下に仮説②を記して行きましょう。



仮説②[2020年は例年と比べ雷の回数が少なく、成長のスイッチが入力され難い状況になっていた]
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雷は別名「稲光り」や「稲妻」と呼ばれている様に、古来より雷が多い年はコメが豊作になると言われているそうだ。

これを有り体に言えば、雷雨が発生し、初夏に植えた稲田へ大量の水が注がれる事で成長を促す作用がある以上、しごく当然の話にも思える。
つまり、初夏の田植えシーズンと夏の雨季を告げる雷雲はセットだからこそ、「稲の妻(夫)」なる漢字があてられたのだろう。


しかし、大量の「水だけ」が必要なのであれば、単純に近隣の河川から引けば良いし、梅雨時から夏場の雨量でも賄えそうな気もする。
にも関わらず、2020年6月に入ってからの天気は梅雨らしい雨天が続いてたのに、周辺の雑草帯がサッパリ伸びていなかった。

と言う事は、イネ科を始めとした様々な植物が生育するにあたって、水だけが問題なのでは無く「別の要因」が絡んでいる可能性についても考慮するのが自然だろう。


そこで浮上するのが、「雷の作用」である。



では何故、水だけではなく「雷まで必要」なのかを考えるに、どうやらそこに含まれる「電気的な刺激」や、雷鳴による「空気の振動」などがセットになる事で、本格的に生命力・免疫力のスイッチが入力されているからなのではないか?との仮説に思い至る。


前回において、「2020年はススキなどイネ科植物が少なかった」と記していたが、いわゆるコメ以外のイネ科でも共通した性質を備えているとした場合、これらも電気的な刺激によって成長を促されるであろう点については同じはずだ。

だとすれば、確か2020年度は雷が少なく、例年に比べ「今年は来るのが遅いなぁ」などと思っていた記憶があるので、それとリンクする様に個体数が少なく成長率が低かった事とも符号する。


また近年の研究報告によると、「植物(作物)に振動を与えると害虫が寄りつき難くなる」と言う現象も確認されているそうだ。


この理由について、一説では「虫が振動を忌諱しているのではないか?」と考えられており、これを技術的に応用する事で農薬を減らせるのでは無いかとも期待されているとの話であった。
確かに、植物が振動する事で虫が定位しづらくなったり、あるいは産卵しにくくなるなどの効果がありそうな点については納得出来るところ。

ただ、個人的な見解としてもう一点付け加えるとすれば、その「振動によって植物自体の免疫力が強化されている面があるのではないか?」とも考えている。


そこでスイッチとなるのが、まさに雷鳴から発せられる電気や微振動であり、これが刺激となって体内のホルモンバランス等へ影響を与える事で、より丈夫に成長する為の必須条件を満たせる様になる。

と言う訳だ。
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さて、一連の仮説を通して解ってくるのは、植物が育つ為の必須条件、すなわち成長のスイッチは「シーズンごとに色々なパターンがあるらしい」と言う事。


それは前回の「冬越し」以外にも、ここで述べている雷も要素の1つ。
つまり、それらスイッチが季節ごとに、順番に、全ての入力が揃う事で、初めて本当の意味で生命力が目覚める事になるのでは無いのか。

そして2020年は、これら2つの要因が足りなかったが故に、植物の成長率が低かったのではないかと考えられるのです。



この「シーズンごとに色々なパターン」としては、例えば常緑多年草の様に年間を通して青々とした品種ならば、いわゆる「成長のスイッチの種類や回数」などは少ないと考えられ、安定した気候や一定量の水分さえ確保出来ていれば生存に足りうるだろうし、実際、そうやって常態的に生育している様子も確認出来る。

これは砂漠やジャングルなど、単純に雨期と乾期だけで分かれていたり、四季による気候差が大きくない土地の樹木が代表例だろう。


それに対し、季節性の植物や作物は春から夏にかけて成長し、秋に成熟、そして冬に枯れてシーズンを終えるサイクルなので、少し条件が異なってくる。
特に日本は四季のメリハリがハッキリしているので、それに合わせてスイッチ入力の条件が少し厳密化されているのではないかとも考えられる。

これにより、各シーズンの気候状況に合わせて生育する事で、ムダな体力を消耗せずに済んだり、一度枯れる事で病害虫の発生が抑制されたりと、生存戦略的にも効率的な面があるに違いない。
ある意味では、その様な植物にとって冬はリセットのシーズンとも言える。

故に、一年を通して青々と繁る植物は少数派となるため、大半の作物はビニールハウスで温めたりなどで強制的にスイッチを入力する必要があるのだ。


この項目における雷も、そう言った「季節を知らせるスイッチ」の1つである以上、雷鳴がないと季節感が感知出来なくなるであろう事は想像に難くない。

そもそも、この日本では一年の内に必ず冬が来る事も夏前に必ず雷雨がある事も前提でシーズンが回っているので、植物もそれに合わせた体質である方が好都合なはず。
だとすれば、電気的な刺激や振動によって初めて目覚める生体機能があって、それが発動するか否かで以後の成長に影響を及ぼす事だってあるかも知れない。

そう考えるとやはり、暖冬で、なおかつ雷が少ないといったイレギュラーな気候が続いた2020年において、雑草の成長率が低かった事にも辻褄が合ってくるのだった。
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では、ここで述べている「様々なスイッチ」とは一体何なのかと言うと、個人的な仮説ではあるが、いわば「決められた順番に入力しないと始動しないシステム」みたいなものだと考えている。

例えるなら、航空機や宇宙船の発進シークエンスで、幾つかのスイッチを順に入力する事で初めて点火されるのと同じ意味あいだ。


これを具体的に表すと、「冬の寒さスイッチ(電源OFF)」、「春の暖かさスイッチ(起動ON)」、「初夏の水分スイッチ(暖気運転)」、「梅雨の雷スイッチ(燃料点火)」、「盛夏の太陽スイッチ(発進オーライ)」といった様々なスイッチを季節ごとに用意する事で、成長ホルモンの増加などエネルギー配分を適切に行ない、適切なタイミングで生体機能を起動する事が可能になる。

またそれだけでなく、仮に「真冬に夏日」みたいなシチュエーションに晒された時など、「間違ったシーズンに目覚める」のを未然に防ごうとしていたり。
もし目覚めた場合でも、これら別のスイッチを幾つか担保する事で必要のない機能まで誤作動を起さない様にして、ムダな体力消費を抑えているのではなかろうか。


もっとも、実際は季節外れに生えるシーンなど度々ある事だし、ハウス栽培では強制的にシーズンを作り出していたりするので、必ずしも絶対的に機能する訳ではないらしい。

数ある中には、スイッチを飛ばして入力しても何とかなる品種があるはずで、むしろシーズン問わず売られている観葉植物などは厳密な条件を除外していたり、そういった元の性質から離れている場合も多いはずだ。



ただし、一つ懸念材料として、実は「いつもと違う条件で生える事で起こりうるデメリット」も存在する。

と言うのも、本来入力されるはずのスイッチが入力されないまま育った場合、その影響が後々に生成されるタネ、そして次世代へと残る可能性が否めないからだ。


具体的には例えば、前回の「冬越ししなかったせいで生命力が目覚めていない」事や、あるいは「雷が鳴らなくて刺激が足りず免疫機能が目覚めていない」事により、そこで発生した生体機能の乱れがタネに記憶されてしまう可能性がありうる。

となると、その記憶を引き継いだ次世代においては、成長ホルモンの生成が阻害されたり、本来なら発揮されたはずの免疫力が機能しなかったりで、まともに生き残れるタネを残せなくなるかも知れないのだ。


それを突き詰めれば、先々の世代で更なる歪みが広がるリスクまで残ってしまうばかりか、いずれかの代で「その種は終わり」と言った事態をも招きかねなくなってしまう。

以下のリンクは、その一例である。
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もっとも、基本的に生物には「種の保存の本能」が備わっている。

なので、仮に生命力がスポイルされてしまったタネであっても、再び「冬越しスイッチ」から「雷スイッチ」といったサイクルで育てる事によって、正常な機能を取り戻せる可能性はある。
また、もし異常気象や気候変動などが騒ぎになっていたとしても、いずれ適応する個体が出現するはずなので殊更に警戒する必要はないかなとも思う。


無論、そんな最悪の事態を避ける為には、まず気候が安定しているのが理想ではある。

しかしながら、ここ数年の気候を鑑みれば、やはり変化が起きる事を前提に据えながら、より環境に適応した品種を増やすべく、実生で生存パターンのバリエーションを広げてみたりなどで、色々とリスクヘッジする事も重要になってくるのではないかなと。

なんだかんだ、結局は「タネで世代を重ねられる種」が一番強いと思うんですよ。
それだけ子孫を残せる力があるって事ですからね。
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さて、前後編つづけて「2020年に植物の成長度合いが弱かった原因」について考察してきた訳ですが、いかが思われたでしょうか。


いずれも科学的根拠よりは個人的な経験則に基づく部分が多いので、必ずしも正しいとは断言出来ないのが実際のところではあります。
しかし、例年との差異であるとか、状況証拠をかき集めると、どうにも「そう考えざるを得ない状況」が浮上するのも確かです。



その上で、ここまでの仮説を踏まえて今年2021年を予測するとすれば、恐らく「2020年度よりは植物の生育が良くなるのではないか」と考えていたりもする。

その根拠として、昨年末から今年始めにかけては強めの寒波が押し寄せていた事と、2019~2020年の冬季に比べて平均気温も低めに推移しているのが一つ(っても数年前の平均に比べれば暖かい方ではあるが)。
つまり、とりあえず冬らしい気候ではあるので、その分だけ「成長のスイッチ」も強く作用すると考えられるのだ。


ただし、この2月中旬・下旬現在は少し暖冬傾向な部分も残っており、日中が春並みに暖かくなる日もしばしば。
また、桜の開花も3月中旬から下旬が見込まれるなど、今後は例年より気温が上昇するとの予測がなされているので、断定するには難しい状況ではある。

今のところ、夜は真冬の寒さに戻ったりなどで安定感には足りない面もあるものの、少なくとも昨年度より寒さがチャージされているのは確かだと思う。


そして初夏以降に、雷が適切なタイミングで到来するかどうかも重要なファクターとなりうる。

この記事の仮説に倣えば、ただ近くを通過しただけで中途半端に終わったり、はたまた全く鳴らなかった場合に植物の反応も変化し、やはり例年と違ったイレギュラーな生育パターンとなる可能性があるからだ。


とどのつまり、要するに、これら全部の条件が例年通りちゃんと揃えば、「植物が元気に育ち緑溢れる大地になる」と言う話なのであります。



いずれにせよ、全ては予測に過ぎないし、夏になれば答えが出てくる事でしょう。

果たして今年はどうなるやら。




では、また、CUL。

2020年は植物の生え方にサッパリ元気が無かった事と、その要因として考えられる仮説 その①「暖冬で冬越しが足りなかった」

2018年に家庭菜園(食べ蒔きプロジェクト)を開始して以降、育てている作物のみならず、周辺の植物にも関心が向くシーンが多くなった。

それは自宅近辺の雑草を含めて、その種類や分布のほか日々の成長度合いに気付いたりと、興味深い発見に至る事もしばしばである。



そんな中、昨年2020年の夏ごろになって、妙に違和感を覚える現象が続いていた。

と言うのも、当時は何故だか近隣の雑草や植物の成長が異様に遅く、例年と比べ明らかに元気が無さそうな印象を受けたからだ。


具体的には、例年の梅雨時期、いつもならボーボーに雑草が生い茂っているはずの場所がスカスカで、やけに短いまま成長が遅れている様な。
あるいは成長に「必須な要素」が足りていない様な、とにかく全体的な伸び率や勢いが足りていない様子であった。

本来なら、春に芽吹いて5月頃に初夏の暖かさで一気に生え揃い、そして6月の雨で溢れんばかりの成長を遂げるものだが、それでも一向に伸びる気配が無く、やけに短い個体が目立ってもいた。
特に、ススキなどのイネ科植物が圧倒的に少なくなっていたゾーンもある事から、例年との差異は明らかである。


実際、この時期にはボーボーになり過ぎた雑草帯を造園業者が刈りに来るのだが、あまり出動している形跡も無かった。
普段なら出ずっぱりで、あちこち連日の如く草刈り機の音が聞こえるのに、当時は殆ど作業している姿もなく、年間を通してもほんの1~2回ほどしか確認していない。
それはまるで、やる必要すら無さそうな印象でもあったくらいである。

もしかして読者の中にも、この変化を実感していた造園業の方がいらっしゃるのではなかろうか。



で、この成長率が低かった要因とは何なのかを考察するうちに、幾つかの可能性が浮上。
その可能性を二種類に分類して仮説立ててみたので、まずは順を追って説明してみよう。



仮説①[2019年暮れから2020年にかけて冬の気温が高くて寒くなりきらず、植物のタネが休眠状態にならなかった]
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ご存じの通り、基本的に植物は暖かいシーズンに全盛を迎え、寒くなり枯れる前にタネを付け、やがて土に撒かれる事で一つのサイクルを終える。
そして、次期に再び芽吹く為には一度「冬越し」が必要で、そこで寒に晒す事により「発芽スイッチ」の準備が完了する。

この現象は「休眠打破」と呼ばれていて、例えば桜の場合、冬の間に寒さがチャージされる事で、春に開花を迎えるスイッチが入力されている。
更に、この冬越しを推奨されている品種は多く、当プロジェクトでのトマトを始め、メロンやゴーヤ、カボチャなどのウリ科作物なども代表例として知られるところ。

これら作物は「収穫直後に採種したタネ」を蒔いても生育不良を起こしたり、まずまともな実をつける事も出来ないとされている。
そして実際、この「冬越しさせていないタネを蒔いても正常に生育しない」現象については、上記の品種を使って過去に行った実験でも確認済みである。


この発芽スイッチを入力するにあたりなぜ冬越しが必要かと言うと、どうやら一度「生存に厳しいシーズン」を過ごす事によって、来るべき成長時に生命力をフルに発揮させる為だと言われている。
それは即ち、時に起きるイレギュラーな気候変動や厳しい環境下に置かれても、乗り越えられるだけのタフなタネと次世代を残す為に備わった、生存戦略の一つでもあるのだろう。

つまり植物は、ただ単に暖かいから目覚めるのでは無く、その前に「準備段階を一定期間のあいだ」経る必要がある。
でなければ、本来の意味での生命力が発揮できにくくなっている様なのだ。

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では、ここで「冬越しが上手く行かなかった」と言うパターンを仮定した場合、植物の生育にどの様な影響があるのだろうか?


この仮定を踏まえて考えてみると、2020年度の食べ蒔きプロジェクトで発芽が遅れていたり、シーズン序盤では成長率が低い状況が続いていた事に関して、いくつか思い当たる点が浮上してくる。
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上記リンク記事にも記しているが、この時に発芽しにくかった要因の一つとして「冬の気温」が関係していたものと考えている。


冒頭でも延べた様に、2019年から2020年にかけての冬季は記録的な暖冬であったし、昼夜の平均気温も例年より明らかに高い日が多かった。

事実あの当時、天気予報では「気温が高い」と何度も触れられていたし、桜も3月中旬から全国的に開花していたほど。
首都圏の場合、例年であれば4月に入るあたりで本格的に開花するのが通常なので、いかに昨年の気温が高かったかが解る。


また余談ではあるが、2020年は「季節の匂い」も特殊で、確か2月頃に何故か「夏の匂い」が空気中に漂っていた日があり、今までそんな事など無かっただけに妙な感覚となったものだ。

通常、この夏の匂いは4月~5月あたりから濃厚となるのだが、昨年に限っては大きくパターンから外れた事になる。
この「季節の匂い」は秋や冬の場合でも存在し、概ねその数ヵ月から数週間前に漂っていた空気感次第で、その年の気候もある程度は予測可能であったりする。

つまり、2020年は夏よりもっと前に、既に冬の段階からして異変の兆候が顕れていた訳だ。


更に、この季節の匂いの正体とは恐らく「気温」、「湿度」、「風向き」、「植物の放つ香り」などの要素により発生していると考えられるのだが、これが人間にも感じられている以上、植物はなおさら敏感にキャッチしているはずである。

先述した2020年2月に、例年と違い「冬なのに夏の様な匂いが漂っていた」と言う事は、「土壌が暖かく保たれる時間が長くなっていた」であろう可能性をも意味する。
そのため、気温だけが微妙な上下を繰り返したり、夜間も寒くなりきらない日が続いた事で、土壌内の季節の変わり目にもメリハリが無くなり、植物のタネは「休眠期間に入りにくい状況」に陥っていたのではなかろうか?

となれば、この気候に晒されたタネや根は、「アレ?今まだ冬じゃないの?」とか、「エッ、もう春?夏?」みたいな具合いで混乱していたり、あるいは「なぁ、生えていいの?ダメなの?もうよくワカンネーから寝とこ」なんてなったりで生活リズムが狂ったり、目覚めのタイミングを失ったままの状態が続いていたとも考えられるのだ。



以上の流れにより、周辺の雑草がサッパリ伸びていなかったり、食べ蒔きプロジェクトで発芽に手間取った理由として。


「冬が暖かかった為に冬越しが上手く行かず、植物の生体機能が正常に切り替わっていなかった」


との結論に達するのです。

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そんな訳で、次回は後編。


仮説②「雷による刺激が少なかった」と言う点について触れて行きましょう。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 1月中旬・シーズン終了のお知らせ&根っ子から解る作物の成長率

前回となる2020年12月下旬までに、何とかミニトマトの収穫に成功。
ただ、迫り来る寒波の影響は大きく、この時点で既に作物全体が枯れている状況でもあった。
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そこから暫く経って、今回は2021年1月中旬の様子となる。


基本的に年末以降は大きな変化も無く、ただ経過観察するに留まっていた。

しかしながら、年明けから更なる寒波が押し寄せていた事もあり、症状は確実に進んでいるし、回復の見込みが無い状況で放置し続けていても、何も起こらないままとなるだろう。


然るに、ここが潮時と判断し、ついに三期生の終了を決定。
それにあたり、様々な部位の状態確認や、恒例の「根チェック」などを施してみる事に。



さて、コチラは今期最も結実率が高く、前回でも収穫に成功した株である。
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ご覧の通り、茎や枝葉は芯までカピカピに乾燥し、全身が茶色く変色。
まさに、霜枯れといった風情。

昨年12月下旬まではギリギリ青味を残していたが、今年1月に入ってからの寒波によってトドメを刺され、この中旬までに一気に終了へと突き進んだのだった。



そんな中にあって興味深いのが、今期は例年に比べ落果が少なかった事。
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この株では、まだまだ果房と果実を繋ぐ「離層」に保持力が残されており、ギリギリ成熟するまで頑張っていたであろう様子が伺える。


これまでの一期生と二期生では、寒波に見舞われたり土に霜柱が立つようになると、急激に落果数が増えて歯止めがかからなくなるシーンが多かった。
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正確には、当時もシーズン終了まで保持されている果房はあったが、落果する割合やパーセンテージに大きな違いがある。
年毎に結実率が違うので単純比較は出来ないのだが、解りやすく数値的に表すと、例年なら多くて8割~9割はポロリしていたのに対し今年は1割行くかどうか。

それはまるで、コンプライアンス重視によりエンタメ業界でポロリが規制強化された事と軌を一にするかの様でもある。


いや、何の話だ、つまり要するに、それだけ微少で済んでいるのだ。



この要因について、ハッキリとした理由は解らないままである。

しかし、強いて挙げるとすれば、2020年末は全国的に雨が少なく晴れの日が多かったので、気候や環境的にも安定していたからではないかと考えている。
多分、それにより日照時間が増えたり、土壌の地温が保たれるなどで「果実を成熟させるための必須条件」が揃っていた。
そして、その間にトマトもギリギリまで粘ろうとした結果、ここまで保持されたと推察されるのだ。


実際、落果が多かったシチュエーションで思い返すと、2018年や2019年などは年末まで雨の日が多かったりと、あまり天気に恵まれない状況が続いていた記憶がある。
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更に、もともとトマトは暖かく乾燥した土地に適応している植物と言われているので、そりゃ雨ばかり続いては生育も不順となろうものだし、環境的に合わない中では落果しまくって当然だったとも言える。

この仮説が正しいとすれば、やはり今期は日照時間が長かったぶん、果房が長持ちした事にも納得が行く。
あともう少しシーズン的に粘れていれば、これらも成熟する所まで持ったのかも知れないなぁ。



でもって、その根回りには若干水分が残されている様子。
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むしろ暖かいビニールハウスなどに移植すれば、また再生するんじゃないかと思える質感。
引っ張ってみても、なかなかキッチリ土に定着していて、強い手応えが感じられる。



ズボッと引っこ抜いてみると、根の発達具合いは良さげ。
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画像右上に向けてゴボウみたいな「太く長い根」が一本伸びていて、周囲には「細かいヒゲ」がバランスよく混在している事から、枝葉への養分供給も上手く行っていたであろう様子が伺える。
故に、収穫までイケたのも必然と言えましょう。



更に、他の個体も抜き取ってみた。
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これらは先のものより成長率が低かった個体群なのだが、何となく気持ち、全体的に根が細い様に感じられる。
そして実際、結実はしても成熟まで持つ事は無かった。



実は、これまでの観測から、どうにもこの「太く長い根」が発達しているほど、その成長率・結実率ともに高くなる傾向が確認されている。
それは、一期生の最期で初めて理解された部分でもある。
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つまり恐らくは、この太く長い根こそが文字通り「幹」の根幹となり、生物で例えるところの背骨として機能している。
あるいは、車の電源で言うメインハーネスとして全体を支えているとも言えようか。

そして、その他の細かな根やヒゲは、脇芽や枝葉を形成していたり、また各部位にエネルギーを供給するなどの役割りがあるのだろう。


とにもかくにも、ぶっとい根っ子を成長させる事さえ出来れば、それに比例して自動的にイケてる個体へと育ってくれる確率も高くなる。

その辺は、作物も人間も共通した原理が貫かれている様に思えてならない昨今なのであります。



トマトシリーズの最後に、コチラは今期唯一の大玉・中玉トマト、いわゆる「普通のトマト」として生育していた個体。
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根の発達には問題無さそうだし、とりあえず結実から成熟までは行けたものの、結果的に様々なトラブルにより収穫まで至らなかった点には課題が残る。


と言うか毎シーズンの事だが、この「普通のトマト」を実生で栽培するのは難しく、今まで何度も惜しいところで野生鳥獣に噛られたり、病気に見舞われたりなどで失敗を繰り返している。
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しかも、蒔いたタネの大半は「ミニトマトに先祖返り」してしまうので、狙って大玉・中玉を発生させる事自体が難しい。
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なので、結局これまで一度も成功(可食する)に至っていない事もあってか、今となっては期待しなくなっている節さえある。

いつの日か、無事に完成する日がくるやら否や。
とりあえず次期もまた蒔いてみる予定ではある。



ついでに、既に引退済みだったけど植わったままにしていた、「ゴーヤ三世」も引き抜いてみた。
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横に広く長く根が伸びていて、なかなかの成長率と言えそう。
引き抜く時もガッチリとした手応えで、かなり強く根を張っている様子だった。



今期のゴーヤに関しては、基本的に「耕していない土に直播き」していた訳だが、なかなかどうして耕さずとも定着しているのが印象的。
しかも、そんな固い土壌でも発芽~収穫まで成功した訳で、改めてゴーヤって雑草だった頃の生命力とかタフネスを色濃く残した作物なんだろなぁと実感する。
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実は最近になって、これを「不耕起栽培(ふこうきさいばい)」と呼ぶ事を知った次第。

それはズバリ、まさしく「土を耕さずに栽培する農法」を指す用語で、主に穀物類などで実践されているらしい。
今期の当プロジェクトではカボチャ、メロン、トマト、ゴーヤ、そしてちょっと例外的に(やや土が柔らかいゾーンで育てた)ジャガイモの生育を確認出来ていたので、あんがい色々な作物で通じる手法なのかも知れない。


しかし通常、作物や観葉植物などを育てる場合、土を耕して柔かくしないと根が伸びにくくなるとされているが、それも品種によりけりなのか。
あるいは耕していれば、今期のゴーヤも更に成長していたのだろうか?

いずれにせよ、そういった一般論やセオリー無視でも何とかなってくれるパターンもある、と言う事なのだろう。

だって元を辿れば、今ある作物も観葉植物もかつては雑草だったはずで、しかも人為的に整地されていない土壌でも世代を重ねていたのだから、本来なら何の問題も無いはずだし。
と言うか、そうじゃないと生き残れないからね。



その意味では、今回のケースからは「タネの生命力が強ければ土壌を選ばず成長できる」可能性が高く、また「環境変化にも強くなる」であろう事が解ってきた。

今後の世界においては、そういった作物の特性や底力を如何にして引き出せるかが重要になってくるかも知れない。
それが、これまでの当プロジェクトを通して導き出された回答でもあります。



そんなこんなで、根チェックは完了。
今期の作業も全て終了となった。

この結果を新たなフィードバックとして、次期に活かして行きたいところ。

トマトもゴーヤも、ここまでよく頑張ってくれたものです。
本当にお疲れ様でした。




おまけシリーズ。




この2月上旬に、抜き取ったトマトを何となく確認してみたら、まだ果実が保持されていた。
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果房との接続部も、まだまだシッカリしていて実のハリツヤも充分残されている。
これも昨年度末まで天候が安定していた影響だろうか?
最近まで寒かったお陰で鮮度が保たれた面はあるにせよ、ここまで質感が良いままなのは初めてのパターンかも。


かくして、作物の生育はタネの性質だけにあらず、その環境にも強く左右されるんだろうなぁと思った、立春過ぎの昼下がりなのでありました。




では、また、CUL。